奈乃は自分のカバンからタオルを取り出して、あたしの濡れた顔や髪を拭いてくれていた。
「……手紙通りに裏庭で待ってたんだけど……誰も来なくって……」
あたしは胸のあたりをぎゅっと掴んで、話を続ける。
「そしたら、いきなり上から水が……降ってきて……」
奈乃は、あたしの顔をいまにも泣きそうな瞳で見つめる。
「結雨ちゃんが……どぉしてこんな目に遭うの?」
奈乃のタオルを持つ手が微かに震えている。
「誰の仕業だ?」
怒りに満ち溢れた琥都の声。
「わかんない……」
そうあたしが答えると、琥都は背を向けて立ち、空を仰ぐ。
「くっそ、誰がこんなこと……」
琥都は空に向かってつぶやいた。
地面にしゃがみ込んでいた快は、あたしの顔を見つめる。
「きっと、前にラクガキしたやつと同じ犯人だな」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
