あたしは、その場にうずくまっていた。震えて動けなかった。
電話が切れてからすぐ、裏庭に奈乃たちがやってきた。
「結雨ちゃんっ」
「結雨っ」
奈乃と琥都の叫ぶ声が聞こえて、あたしはゆっくりと顔を上げる。
「結雨……!」
快と一緒に3人で、こっちに向かって走ってくる。
息を切らして駆けつけてくれた3人の姿を見たら、少しホッとした。
「なんで、びしょ濡れなんだよ?何があった?」
そう言ってあたしの前にしゃがみ込んだ快は、あたしの顔をのぞきこむ。
「結雨ちゃん……?」
「結雨……」
奈乃も琥都も心配そうにあたしを見つめる。
あたしは涙を拭いながら、震える小さな声で言った。
「ごめん……っ」
みんなの顔を見たら安心して、涙がいっそうあふれてくる。
「ごめんね。今日あたし……みんなとボーリング行けないや……」
あたしが泣きながら言うと、琥都が自分の来ていたブレザーを脱ぎ、あたしの背中にかけてくれた。
「そんなのはどーだっていいんだよ。何があった?」
琥都のブレザー濡れちゃうのに……。
ごめんね……琥都。
「ゆっくりでいいから話して、結雨」
そう言って琥都は、まっすぐな瞳であたしを見つめる。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
