ブレザーのポケットの中でケータイが振動していることに気づく。
ケータイを取り出してみると、画面には奈乃の名前。
電話に出て、ケータイを耳にあてた。
“あ、結雨ちゃん?まだかなーと思って電話したんだけど……”
奈乃の明るい声が聞こえて、ケータイをぎゅっと握りしめる。
「……っ」
声にならない声が唇から漏れた。
“結雨ちゃん?もしもーし?……聞こえてるー?”
ケータイを持つ手が震えて、あたしはその場にしゃがみこむ。
「……っ……奈乃……」
唇を震わせて、ノドの奥から絞り出したような声を発した。
助けて……。
「奈乃……っ」
涙がこみ上げてきて、口元を手で押さえる。
“え?結雨ちゃん?どしたの?……泣いてるのっ!?”
「……ううっ……うっ……」
“結雨ちゃん?いまどこ!?”
「……っく……裏庭……」
“待ってて、すぐに行くから”
電話は切れた。
冷たくて、怖くて
体の震えが止まらない。
助けて……。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
