「……つめ……た……」
濡れた手で目元を拭い、すぐに上を見上げた。
校舎の2階の空いた窓から、ブリキのバケツが引っ込むのが見えた。
誰かがあたしに、わざと水をかけたんだ。
犯人の姿までは見えなかった。
いったい、誰の仕業……?
誰がこんなこと……。
この手紙は、あたしを呼び出すための罠だったの?
もしかして、ラクガキした人と同じ犯人……?
なんで……。
なんであたしが……こんな目に遭わなきゃなんないの……?
あたし何かした?
髪や顔、服から水滴がポタポタと地面に落ちていく。
「どぉしてこんな……」
泣きそう……。もぉやだ……。
涙がこみ上げてきて
息をするのさえも苦しくて
動くこともできずに、水滴が落ちていく地面を見つめていた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
