だけど、しばらくそこで待っていても人が来る気配はなく、
手紙は、ただのイタズラだったのではないかと思い始めていた。
もう少し待ってみて誰も来なかったら、もう帰ろうと思った。
このあと一緒にボーリングに行く奈乃たちのことを、いつまでも待たせているのも気がかりだった。
それにしても、さっきの琥都の表情。
なんだったんだろう。
奈乃の言葉で、一瞬だけ……琥都の表情から明るさが消えた気がした。
そのことに奈乃も快も気づいてなかったようだけど、あたしは見逃さなかった。
普段から湊も快も子供っぽすぎて、男子3人の中では琥都がいちばん大人っぽく見えるけど。
琥都って、ときどき何考えてるのかわかんないときがあるっていうか。
まぁ、奈乃とはラブラブだし、
べつに気にするほどでもないか……。
「ふぅ」
校舎の壁にもたれて立っているあたしは、ため息をついて自分の足元を見つめる。
つま先で、サラサラした地面の土を撫でた。
手紙は、本当にただのイタズラだったのかも……。
そのときだった。
――バッシャーーーン!
いきなり上から大量の水が降ってきて、あたしは全身ずぶ濡れになった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
