【結雨side】
――――――……
GWも過ぎた、5月の中旬。
朝、お母さんが仕事に出掛けたあと、あたしは自分の部屋で学校の制服に着替えていた。
「結雨っ!」
浴室から聞こえてくるシャワーの音と、あたしを呼ぶ湊の声。
「結雨っ!3秒以内に来ねぇと……」
あたしはシャツのボタンを閉めながら、慌てて浴室のほうへと向かった。
「なによぉ?呼んだ?」
浴室のドアの前に立つと、中から湊の声が聞こえた。
「シャンプーねぇんだけど」
「あ、昨日の夜あたしが使い切ったんだったわ。ごめん、待ってて」
あたしは買っておいた新しいシャンプーを洗面所の棚から取り出す。
……えーと。
どうやって湊に渡そう。
あなた裸ですよね、いま。
「し、失礼しまーす」
シャワーの音が聞こえる中、あたしは浴室のドアを少しだけ開けた。
ドアの隙間からそっと浴室の床にシャンプーのボトルを置いたあたしは、急いでドアを閉める。
……ふぅ。任務完了。
洗面所には、浴室からの白い湯気が立ちこめていた。
「シャンプー置いたよ?」
「んー」
「もう用ない?」
「おまえも入る?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
