俺はついでに教室の中をのぞいた。
開けっ放しだった後ろのドアから教室に入ると、クラスメートたちがまだちらほら残っていた。
あれ……?
まだ帰ってなかったのか。
自分の席に座って、何かを書いている奈乃がいた。
「奈乃」
後ろから俺が呼ぶと、奈乃はビクッと肩を跳ねさせた。
俺の方に振り向いた奈乃は、笑顔を見せる。
「急に呼ばれたからびっくりしたよぉ」
「わりぃ」
「部活じゃないの?」
「あぁ、これから行く」
奈乃の席の横に立つと、奈乃は机の上で学級日誌を書いていたところだった。
「今日は琥都と一緒に帰らねーの?」
「琥都は、用事があるみたいで先に帰ったよ」
「ふーん」
「日誌も書き終わったから、奈乃も帰るね」
そう言って奈乃は、カバンと日誌を持って席を立ち上がった。
「バイバイ、湊くん」
「じゃーな」
奈乃は俺に手を振りながら、教室を出て行った。
……日誌を書いていたとき、ペンを持つ奈乃の手が少し震えてた気がすんだけど。
俺の気のせいか?


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
