「午後の授業が終わったあと、俺らの教室に来ただろ。おまえの後ろ姿、見かけたんだよ」
「あー、結雨の顔が見たくなって。教室にいないみたいだったから、そのまま引き返したけど。なんでそんなこと聞くんだ?」
「とぼけんのも、いいかげんにしろよ?」
「朝霧、さっきから何が言いたいんだ?」
……二階堂が犯人じゃねぇかと疑ったけど、違うのか?
「黒板と結雨の机にラクガキしたのは、おまえじゃねぇのか?」
俺の言葉に、二階堂はフッと顔を背けて笑った。
「俺を疑ってるのか。なんの為に俺がそんなことを?」
「こっちが聞きてぇよ」
「俺じゃないよ」
ウソなのか、本当なのか。
二階堂の表情からはわかんねぇ。
「教室の前で呼び止めた子に、結雨はまだ音楽室から戻ってきてないって聞いて、俺は引き返したからね」
ラクガキの犯人は、二階堂じゃねぇのか……?
「廊下からチラッと黒板の文字は見たよ。結雨の机にまでラクガキがあったことは気づかなかった。教室には入らなかったから」
もしこれが事実だとしたら、二階堂が俺らの教室の前に来たときには、すでにラクガキがされていたことになる。
「結雨は大丈夫なのか?俺が慰めて……」
「おまえが慰める必要ねぇから。余計なことすんなよ?」
「弱ってるときに優しくして、結雨を俺に奪われるのが怖い?」
……どっから来んだよ、その自信は。
「本当におまえが犯人じゃねぇんだな?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
