……俺は、キスする寸前で止めた。
「そ、湊……?」
あと数センチで口に触れるこの距離で、俺はつぶやく。
「……覚悟しとけよ?」
「え?」
「今後アイツの前で、こういうことするかもしんねーから」
そう言ったあと、俺は顔を背けてフッと笑う。
驚いたのか、目を丸くしてキョトンとしている結雨。
「ちょっ……もぉっ!ふざけないでよっ」
結雨は俺の肩をグーで殴ってくる。
「イタッ」
「ホントにキスしたら殴るからねっ!?」
「するわけねーだろ、バーカ。つーかもう殴ってんじゃねーか」
「バカっていうほうがバーカっ!」
「あ?バーカ」
「湊のバカバカバカバカバカ……カバっ!……あれ?カバ?」
「……アホか」
いまさら優しくなんてできねぇし、
俺たちは今まで通り、これからも過ごしていくはず。
それでも……俺は……。
おまえのこと、大切に想ってる。
「痛ぇーよ。殴んなって」
「湊がふざけるからでしょーがっ」
だけどなんで俺……キスなんてしようとしたんだろ。
いや、本気でするつもりなんてなかったけど。
……なかったはず。
なかった……よな……?


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
