「あー、べつに」 俺はベランダの手すりにもたれかかって、公園の桜を見つめる。 「なによぉ?気になるじゃんっ」 隣に立つ結雨は、俺に体をくっつけて、横から俺の顔をのぞきこむ。 おまえ……顔、近ぇっつーの。 瞬きをして俺の答えを待つ結雨。 数秒間の沈黙。 俺たちは見つめ合う。 「結雨……」 「ん?」 俺は、右手を結雨の頭の後ろに回した。 結雨の瞳をまっすぐに見つめたまま、少し傾けた顔を近づけていく……。