そんな俺に対して結雨は、
まるで、いなくなった母親の代わりになろうとしてるみたいに、
俺の世話を焼くようになった。
結雨に甘えてたんだと思う。
いつしか結雨に対して、素直に優しくできなくなった。
それでも結雨は、こんな俺の……そばにいてくれた。
結雨がいなかったら、俺はいまもきっと母親を……。
母親のことを忘れようなんて、思えなかったと思う。
同じ場所で、
こうして思い出を重ねていくことで。
俺の記憶は
この場所の思い出は
またひとつ増えていく。
あの日、つぶれた心
悲しかった思いも
憎しみも、少しずつ。
少しずつ、確実に。
癒えて、薄れていったのは……
そばにいてくれた結雨のおかげだって、ちゃんとわかってる。
「湊……」
「ん……?」
俺の背中を撫でながら、結雨は穏やかな声で言った。
「来年もまた一緒にお花見しよぉね?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
