恋する僕らのひみつ。




「アホか……泣くわけねぇーだろ」



「……っ……ん……」



結雨の小さな手が、俺の背中を優しく叩き、



その心地いい音に、俺はそっと瞳を閉じる。



……いまでもまだ



母親に捨てられたあの日を、忘れることはできないけど。



でも、ベランダに出ると思い出すのは。



あの日の記憶だけじゃない。



毎年のように結雨と花見をして



くだらないことで笑い合ったり、ふざけ合った記憶もちゃんと思い出す。



あの日……ひとりじゃなくてよかった。



結雨がいてくれてよかった。



母親に振り払われた手を、握りしめてくれたのは結雨だった。



“湊ちゃんには、結雨がついてるよ”



だけど、母親がいなくなったあの日から俺は、



結雨に冷たい態度を取ったり、ワガママを言うようになった。