「湊……」
結雨は、そっと俺の体を抱き締めた。
切なさがこみ上げ、胸が締めつけられる。
その細い腕で俺を抱きしめ、
いまにも泣きそうな声で、俺の名前を何度も呼ぶから……
「湊……っ」
だから俺まで……。
俺まで……泣きそうになんだろ……。
「バカ……なんでおまえが泣きそうになってんだよ……」
「……っ……ごめん……」
あの日を忘れられないのは、俺だけじゃなかった。
結雨……おまえも……。
結雨は俺を抱き締めたまま、ポンポンと優しく俺の背中を叩き続けた。
「ホントは……湊を笑わせたかったけど……」
結雨は、声を震わせて小さな声で言った。
「泣きたかったら……泣いてもいいよ……?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
