その後、父親から離婚したことを聞かされた。
母親は俺を捨ててあの男といなくなり、それから俺は父親とのふたり暮らしが始まった。
あれから毎年のように春になると、ベランダで花見をしようと結雨が言ってくるようになった。
結雨はきっと。
同じ場所で、思い出を作って。
思い出を重ねて。
あの日のつらい記憶を、俺の中から消そうとしていた。
そのことに俺が気づいたのは、あれから何回目の花見の時だっただろう。
まだ7歳だった俺の
あの日の記憶
思い出を重ねて。
いつか完全に忘れることなんて、できるのだろうか――。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
