恋する僕らのひみつ。



『お母さん?』



『……ごめんね……っ……』



どうして答えてくれないんだろう。



お母さんはもう……帰ってこないってこと……?



母親は、俺の手をほどいて玄関のドアを開けようとした。



……行っちゃう。



お母さんがどこかに。



俺を置いてどこかに……。



『行かないでっ!お母さん……っ』



そう言って俺は、



もう一度強く、母親の手を掴んだ。



そしたら今度は



母親は、俺のその手を。



行かないでと言ったその手を



振り払ったんだ……。



『ごめんね……湊……』



――バタンッ。



母親は俺をその場に残して、家から出て行った。



俺は一瞬、何が起きたのかわからなくて。



母親に振り払われた手のひらを見つめたまま、動けなかった。