恋する僕らのひみつ。




「ふけよ。俺の顔」



「はぁー!?」



「早くふけ」



「ったく、もぉ……」



長袖を着ている結雨は、手を隠した袖の部分で、俺の顔についた水滴をぬぐう。



「湊ちゃんは、ホントに世話が焼ける子でちゅねー」



結雨の袖が俺の顔から離れた瞬間、俺は結雨の顔を見つめた。



「どしたの?急にマジメな顔して……」



一瞬。



あの日の結雨の声が。



“湊ちゃん”



聞こえた気がして。



「……湊?」



……わかってる。



結雨がなんで春になると毎年のように、ベランダで花見をしようと言うのか。



その理由も。



俺のためだってことも。



全部……わかってる。