「ちょっと、重た……」
そう言いながら結雨がこっちを向いた瞬間、
結雨の肩にもたれている俺は、下から思い切りにらみつける。
食卓で家計簿をつけているおばさんに聞こえないよう、
俺はにらみつけたまま小声で言った。
「おまえ忘れてねぇだろーな?マッサージ」
「あはっ……あはは~」
「なに笑ってんだよ?」
結雨は手で俺の頭を押し戻し、ソファから立ち上がる。
「今日はさっ、お花見しよーよ」
そう言って結雨は、ニコッと俺に笑いかけた。
「は?」
おい、マッサージはどーした。
俺の今日のモチベーション返せや。
「毎年の恒例行事でしょっ?ふたりでお花見するのは」
「桜なんか、もう散っただろ」
「まだ咲いてるけど?なんでそんなわかりやすいウソつくかね~湊は」
俺の頭を人差し指でツンと押した笑顔の結雨を見て、俺はため息をつく。
「寝る前にちゃんとやれよ?」
「え?なにをー?聞こえなーい」
そう言って結雨は、キッチンのほうに歩いていった。
結雨のやつ……。
マッサージが嫌で、花見に逃げやがったな。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
