「理央っ」
二階堂を下の名前で呼ぶこの人は、女子バスケ部の3年。
肩下までのストレートの黒髪を、いまは後ろでひとつに結んでいる。
名前は、来瞳 深珠(くるめ みじゅ)。
二階堂とは普段から仲がいいイメージがある。
本当かは知らねぇけど、来瞳先輩は二階堂の元カノだって噂もある。
「理央、ジュース買ってきて?」
そう言って来瞳先輩は、ニコッと笑う。
胸ぐらをつかんでいた俺の手を掴んで離した二階堂は、スッと立ち上がった。
「いいよ」
女から頼まれると断らない二階堂のマメな性格に、俺はあきれて言葉もでない。
「深珠の買うついでに、朝霧のも買ってこようか?何飲みたい?」
「いらねーし」
「おごってやるって。ノド渇いただろ?適当に買ってくるからな」
自動販売機にジュースを買いに、二階堂は体育館から出て行った。
いらねぇって言ってんだろーが。
アイツに買ってもらったジュースなんて飲みたくもねぇし。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
