「朝霧か」
そう言って先輩は、湊を見て不敵な笑みを浮かべる。
こっちに歩いてきた湊は、あたしの手を掴んでいた先輩の手を無理やり解いた。
湊は、あたしの前に立って先輩と向かい合う。
あたしの目の前には、湊の大きな背中。
「結雨は、もうおまえの女じゃねぇだろ」
湊はつっかかるような口調で話す。
「こうやって陰で結雨に手ぇ出そうとすんの、やめてくんね?」
あたしは湊の背中から少しだけ顔を出して、先輩の顔を見た。
「フッ……よく言うよなぁ。朝霧だって、俺と結雨が付き合ってるときから、コソコソ陰で結雨に手ぇ出してたんだろ?」
「あ?てめぇと一緒にすんな」
「ホントのことだろ?朝霧」
先輩は湊の肩にポンと手を置いて、余裕な表情で微笑む。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
