ふんわりと香る先輩の匂い。
ムスクのような甘くミステリアスな大人の香りが、いつだってあたしをドキドキさせた。
「……っ」
先輩があたしにキスしようとした瞬間、あたしは顔を背ける。
そして、気づいたときにはもう……。
――パシンッ。
あたしは手のひらで、先輩の頬を叩いていた。
「……っつー」
「あ……」
ど、ど、どうしよう。
先輩の頬、思い切り引っ叩いちゃった。
「ごめんなさいっ」
自分の手のひらも、ジンジン痛い。
相当な強さで叩いちゃった。
「ホントにすいませんっ」
「俺、女の子に叩かれたのって初めてかも」
そう言って先輩は、頬をさすりながら優しい笑顔を見せる。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
