「別れる前にデートの約束してたじゃん?次にデートしたときに渡そうと思って、前に買っておいた物」
「だからって……なんでいま渡すんですか?あたしたちもう別れたのに……」
「それは結雨のために選んだものだから」
胸が……締めつけられる……。
「もらっても困ります」
ブレスレットを外そうとすると、先輩はまじめな声で言った。
「結雨に似合うと思って買ったから」
あたしのことなんて……本気じゃなかったくせに……。
「結雨にあげた物だから、いらなきゃ捨てていいよ」
そう言って先輩は、あたしの瞳を見つめて優しく微笑む。
先輩は……
本当にズルい人……。
“追わないよ?俺”
“いらなきゃ捨てていいよ”
本当にズルい……ズルいよ……。
「結雨」
そんな優しい声で呼ばないで。
胸が苦しくて、張り裂けそう。
もしかして……あたしの気持ちを試してるの……?
あたしをまっすぐに見つめる瞳。
先輩の顔が、ゆっくりとあたしの顔に近づいてくる。
足が、体が……動かない。
先輩は顔を傾けて、息が触れる距離でその瞳を閉じた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
