「幼なじみっていうわりには、仲良すぎるもんな。前から思ってたんだ」
先輩は壁に左手をついたまま、右手であたしの頬を撫でる。
「ホントは俺のことなんて、好きじゃなかったんでしょ?」
先輩の冷たい笑顔に、背筋がゾッとした。
「俺と付き合ってるときから結雨は朝霧のことが好きだった。違う?」
こんな先輩、初めて見る……。
あたし、本当に先輩のこと……何も知らなかったんだね。
何も見えてなかった。
「ふたりから同じ匂いしてたもんな。ふたりの関係に俺が気づいてないとでも思った?」
「そ、それは……誤解で……」
……そういえば前、湊が言ってた。
あたしと同じ匂いがするって、部活中にいきなり先輩から言われたって……。
「純情ぶってキスできないとか言ってたけどさぁ。ホントは朝霧とやることやってたんでしょ?」
「ち、ちがいます……それは……」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
