先輩は1階まで階段を下りると、階段の隅へとあたしを連れていった。
「先輩……っ」
そう大きな声を出したあたしは、その場に立ち止まった。
あたしの腕を離した先輩は、まっすぐに見つめてくる。
「話って……なんですか……?」
先輩は一歩ずつ、あたしのほうへと近づいてくる。
「せ、先輩……?」
後ずさるあたしは、壁に勢いよく背中を打ち付けた。
あたしの顔の横で、壁に左手をつく先輩はあたしの瞳をジッと見つめる。
か、顔が……近いんですけど……。
あたしは、反対側にプイッと顔を背けた。
「こっち向いて」
先輩の言葉を無視して顔を背けたままでいると、先輩の右手があたしの左頬を包み込むように触れ、
無理やり先輩のほうへ顔を向けさせられる。
先輩と目が合った瞬間、先輩は優しい声で呼んだ。
「結雨」
……なんでよ。どうして……?
名前を呼ばれるだけで、泣きそうになる。
泣いたらダメなのに。
あたしは……あたしは……。
先輩に復讐するって決めたんだ。
ゴクリと唾を飲み込んだあたしは、強い口調で聞く。
「なんですか?話って」
「朝霧と付き合ってんだって?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
