恋する僕らのひみつ。



腕を掴まれて立ち止まったあたしは、先輩の顔を見つめた。



「ちょっといい?」



「え……?」



「話しあるから来て」



強く掴まれた腕が……痛い。



先輩と見つめ合ったまま、あたしは何も言えずにいた。



そのとき、あたしの隣にいた奈乃が細く小さな声で呼んだ。



「結雨ちゃん」



奈乃のほうを向いたあたしは、無理に笑顔を作った。



「奈乃ごめん。先に教室戻ってて」



「でも……」



奈乃はあたしが心配なのか、その場から動かずにいる。



奈乃に向かって“大丈夫だよ”と言うかのように、あたしは微笑んで小さくうなずいた。



「……わかった。先に行ってるね」



そう言って奈乃は、先に階段を駆け上がっていく。



「先輩、話って……」



あたしの質問に、先輩は無言で微笑む。



先輩はあたしの腕を掴んだまま、階段を下りていく。



「先輩っ、どこに……」



先輩の後ろ姿

先輩に掴まれた腕



この痛くて苦しくて

どうしようもなく切ない胸の鼓動に



あたしはまだ先輩が好きなのだと



嫌でも実感する