――――――……
家で夕飯を食べ終えたあと、あたしは自分の部屋に行く。
すると、いきなり部屋のドアが開いて、湊がやってきた。
「ちょっと!ノックくらいしてって、いつも言ってるでしょーが」
「忘れた」
「あたしが着替えてたら、どーすんのよ……ホントにもぉ」
あたしの言葉に、湊は冷ややかな表情で答える。
「別におまえの着替えてるとこ見たからって、何ともねぇけど」
はいはい、そうでしょうね。
あたしを女と思ってないんですもんね。
女嫌いの湊くんは。
「んで、何か用?」
「は?忘れたとは言わせねぇかんな」
湊はズカズカと勝手にあたしのベッドの上に上がり、うつぶせになる。
「きっちり10分、よろしく」
そう言って湊は枕に顔をうずめた。
マッサージ、覚えてたんだ……。
まぁ忘れるわけないか。
これが彼氏のフリをする条件ですもんね。
「どこからやればいいの?」
「んー、背中」
「背中……ね?」
「あ……おまえ先に言っとくけど、くすぐったら、ただじゃおかねーからな」
「えへっ。やるまえにバレちゃった?」
「ふざけんな」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
