恋する僕らのひみつ。




快とバイバイをしたあと、あたしは帰り道をひとりで歩いていく。



今日は、二階堂先輩と会うことはなかった。



学年が違うのもあって、教室の場所も遠い。



休み時間、校舎内のどこかですれ違うこともなかった。



偶然、先輩の姿を見かけることもなかった。



会わずに今日を終えたことに、心のどこかでホッとしている自分がいる。



先輩の顔を見るのが、まだ本当は怖い。



どんな顔をすればいいのかも、わかんない。



先輩の前で、もう絶対に泣いたりできないし。



湊と付き合ってるフリもしなきゃいけない。



先輩のことなんて、もう好きじゃないって。



浮気されてまで好きでいると思ったら大間違いだって。



もう気持ちなんか少しも残ってないって……大っ嫌いだって……。



そう……先輩の前では強がっていたいのに。



「……っ」



あたしは道の途中で立ち止まり、オレンジ色に染まり始めた空を見上げる。



瞳に浮かぶ涙が、空の色を滲ませた。



もう好きなんかじゃない。だいっきらい。



そう強がっていたいのに。



だけど、先輩の顔を見たらあたしは……。



きっと……好きって想いが、溢れてくるんだろう。