「……信じらんない。しかも保健室でそんなこと……ひどいっ」
奈乃はあたしの話を聞き終えると、大きなため息をついた。
「二階堂先輩、ホントなんなの?ありえない……」
「あたしが先輩と別れた理由、誰にも言わないでもらえるかな」
「言わないよ」
「できれば琥都にも言わないでもらいたいんだけど……」
奈乃は、琥都の彼女。
でも付き合ってる琥都との間にヒミツなんて作らせたら悪いかな。
「やっぱり、琥都だけなら言ってもいいよ」
でも琥都に知られたら、自動的に快にも知られちゃうかな。
あのふたり仲良しだし。
琥都はたぶん心配ないけど、快はなぁ。
あの快が、人に黙っていられるとは思えない。
今朝のことで余計に、そう思う。
「琥都にも言わないよ。これは結雨ちゃんと奈乃のヒミツだもん」
心配そうに悲しげな顔をした奈乃は、そっとあたしを抱き寄せた。
「大丈夫?結雨ちゃん……」
「うん……」
奈乃とは、まだ出逢ったばかりで。
あたしたちは、性格も雰囲気も全然似てない。
だけど不思議……。
奈乃といると、落ちつく。
奈乃の優しくて柔らかな雰囲気が、そうさせるのかな。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
