こんなんで、奈乃にバレてない?
付き合ってるフリが、こんなに難しいなんて思わなかった。
「二階堂先輩とは、なんで別れちゃったの?あんなにドキドキするって言ってたのに。ドキドキしすぎて疲れちゃった?」
「それが……ね」
ヤバい……どうしよう。
目のあたりが熱くなって、涙がこみあげてくる。
一瞬であの保健室の光景が思い出されて、
胸の奥が痛い……。
「ごめん、言いたくなかったら大丈夫だよ?」
あたしはうつむいて、下唇を強く噛みしめる。
昨日あんなに泣いたのに。
どれだけ泣いたら、涙は出なくなるの?
もう……やだ。
「結雨ちゃん……平気……?」
「奈乃……」
顔を上げたあたしは、トイレ内をキョロキョロと見まわした。
他に誰もいないよね?
奈乃以外の人には、こんな話……聞かれたくない。
涙ぐむあたしは、奈乃に先輩と別れた理由を話した。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
