胸がズキッと痛む。
「うん……いろいろあって……」
トイレの鏡に映った自分の顔を見て、あたしはため息をついた。
「湊くんと付き合い始めたこと、うちのクラスだけじゃなくて、もうあちこちで噂になってるみたいだよ?」
「え?ホントっ!?」
あたしはグッと奈乃に顔を近づける。
二階堂先輩の耳にも、もう入ったかな……?
伝わってることを願う。
「だって、校内1のイケメンと校内1の美少女がカップルになったんだもん。すぐ噂になるよぉ」
「あは、あはは……その言い方やめて」
あの悪夢の文化祭を思い出すから。
あ、もしかして……
今朝、快が言ってた“校内1カップル誕生”って、文化祭のときのことを持ち出したのか。
やっと意味がわかった。
ホント、くだらなすぎるわ。
「ごめん。でも結雨ちゃんと湊くんていえば、やっぱり1年の文化祭のイメージが強いから……つい」
「だよね~。あの意味不明なイベントのせいでね~」
本当、黒歴史だわ。
「朝も、ふたりで手つないで登校してきたんだってね。琥都から聞いたよ」
「えへ……へへっ」
あたしは視線をうつし、鏡に映った自分の顔を見る。
ヤバい。全然うまく笑えてない。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
