その日の昼休み。
あたしがトイレの鏡の前で髪を整えていると、奈乃がトイレにやってきた。
「あ、結雨ちゃん」
「奈乃」
「朝から騒がれて大変だったね」
「ホント……特に快ね。あとくぼっちも。先生のくせにノリが高校生すぎるでしょ」
うなずきながら微笑んだ奈乃は、あたしの隣に立って鏡の前でメイクを直し始める。
奈乃は女の子らしくて、うらやましいな。
見た目も、雰囲気も。
性格も話し方も。
可愛らしくて、ふわふわしてて。
あたしは、どう頑張ればこんなふうに女の子らしくなれるんでしょうか?
「ねぇ、奈乃」
「なぁに?」
奈乃は、頬にピンク色のチークを塗りながら返事をした。
「どうしたら女子力って上がるかな?」
「え?どぉしたの?急に」
「いやぁ……」
頭をかきながら言葉につまると、奈乃はあたしを見つめて微笑んだ。
「結雨ちゃんて、確かに見た目と性格のギャップ激しいよね。最初びっくりしたもん」
「……湊に中身おっさんて言われる」
「うーん。女子力を上げるって……仕草とかかなぁ?ふふっ。湊くんとケンカしてるとき、結雨ちゃん本気で殴ってるよね?」
「……おっしゃるとおりです」
仕草かぁ。
今朝、湊にも言われた。
まず内面を磨けと。
内面の女子力が上がれば、可愛らしい雰囲気の女の子になれるかもしれない。
仕草にも気をつけよう。
二階堂先輩への復讐を果たすためにも、もっと可愛く魅力的な女の子にならなきゃ。
「それより結雨ちゃん」
「ん?」
「二階堂先輩と別れちゃったのは、どうして?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
