「ほっぺた痛いんですけど」
そう口を尖らせて言ったあたしは、お返しに湊の体を両手でくすぐり始める。
「ふふっ。こしょこしょ~」
「おまっ……やめっ……」
湊は、くすぐられるのが弱い。
布団の上で湊とゴロゴロしてふざけ合っていたら、
その瞬間だけは、ほんの少し。
つらいことを、忘れることができた。
「やめろって、バカ」
「やだよぉーだっ」
あたしはイタズラっぽい顔でベーっと舌を出して、
湊の体をくすぐり続ける。
「おまえなっ」
「ふふっ……ぎゃっ」
湊は、あたしの両手首をぎゅっと強く掴み、
あたしは布団の上にあおむけになった。
あたしの体の上には、湊が跨っている。
体を押さえつけられて、おとなしくなったあたしと、
あたしを押さえつけて、勝ち誇ったかのように不敵な笑みを浮かべる湊。
息を切らしながら、お互いに相手の瞳を見つめる。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
