『ふたりともー!早くこっちに来てくださーいっ』
司会の声にハッと現実に戻るあたしは、隣にいた湊の顔を見る。
『湊……どーする?』
あたしが聞くと、湊は呆れたように答えた。
『行かねぇよ、アホか』
『でもこの空気、どう収めるつもり?みんなあたしたちのこと見てるけど……』
『……逃げる』
そう言って食べ物を置いて、その場から逃げようとした湊だったけど、
そばにいたクラスの男子たちに捕えられて、無理やり壇上の上へと連れて行かれてしまった。
あーあ。
そんな湊を横目に、仕方なくあたしも壇上に上がることに。
……最悪。
なにこれ。
こんな恥ずかしいこと、人生でもそうないわ。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
