体育館にいる生徒たちみんなが、隅にいたあたしたちのほうを見つめていた。
『そして、今年の北十字高校1の美少女は……』
ジャカジャカジャカ……ジャンッ。
『見事1位に選ばれたのは、1年の一色結雨さんっ』
司会の声が聞こえた瞬間、あたしは驚いてヘンな声をあげてしまった。
「うぇっ!?」
いま、あたしの名前呼ばれた?
いや、空耳でしょ。
『では見事1位になった朝霧湊くんと一色結雨さんは、壇上に上がってきてくださーい』
空耳じゃなーい!
なにこれ……。
体育館にいる生徒たちの大きな拍手と歓声につつまれる中、
湊とあたしはその場で固まったまま、ポカンと開いた口が塞がらない。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
