先輩の大きな手が、泣いてるあたしの頬に触れた。
「結雨、ごめん」
あたしはその手を振り払う。
「他の女の子に触れた手で触らないで……」
傷ついたのはあたしなのに。
傷つけたのは先輩なのに。
どうして先輩が傷ついたような顔するの?
「……結雨に俺を責める資格あんの?」
どういう意味……?
先輩はあたしの瞳をまっすぐに見つめる。
「ホントに俺のこと好き?」
「なんでそんなこと……」
どうしてそんなこと聞くの?
先輩のこと、好きに決まってるじゃない。
先輩のこと、信じてたのに。
「俺のこと、ホントに好きだった?」
そう言って先輩が顔を近づけてきた瞬間、あたしは顔を逸らした。
「ほら……これで何度目?」
先輩は冷ややかな低い声で言った。
もしかして……
付き合ってから一度もキスをしなかったから?
あたしが先輩とキスできなかったから?
だから先輩は他の女の子とキスしたの?
先輩が浮気したのは、あたしのせいなの……?


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
