保健室に入ると、そこにいるはずの先輩の姿はなかった。
あれ……?
あたしは誰もいない保健室の中をキョロキョロと見まわす。
――ギシッ。
その音が聞こえてきたのは、白いカーテンが引かれた向こう側。ベッドが置いてある場所。
ベッドの白いカーテンの向こうに黒い人影が見える。
「誰も来ないよね?」
「あぁ」
小さな話し声。
「ふふっ……くすぐったいよぉ」
女の子の声が聞こえたのと同時に、嫌な予感がした。
まさか……ね。
「あんま声出すなよ」
二階堂先輩の声に、あたしの心臓はドクンと大きな音を立てる。
あたしはゆっくりと足音を立てないようにカーテンのほうへ近づいていく。
まさか……違うよね?
そんなはずないよね?
あたしはカーテンの隙間から、そっと向こう側の様子をのぞいた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
