嘘と本音と建前と。

いよいよ文化祭の開幕だ。


ちらりほらりと保護者や卒業生が正門を潜るのを司は

廊下の窓から眺めている。


体育館でもう劇が始まったようで、校舎でするフリーマーケットには

なかなか客が来ない。


フリーマーケットの本番は昼休みと劇と劇の休憩時間だ。


暇を持て余す司はカバンから単行本を取り出し、会計のところに置かれた

椅子に腰掛けた。


電子書籍が流行る時代、司はそれを良しとしない。


紙であるからこそ本だと言えるのだ。


指に触れる紙の感触が司は好きだ。


本を読む一つの理由としてそれがある。


今、教室にいるのは司を含めた十人で田中も空知もいない。


司は煩い同級生がいないため、心置きなく本を読んでいた。


一時間たった頃だろうか。


司は誰かに声をかけられ顔を上げた。