嘘と本音と建前と。

階段の踊り場にさしかかろうとしたところで空知に声をかけられた。


反響していて正確な距離はわからないがあまり近くない気がする。


「ん?」


司は振り返りはもののしないが足を止めた。


「少し知ったらまた少しって、おかしいか?」


それは染谷香織のこと、だろうか。


そうならば本当に少女マンガのヒロインのようなセリフだな、

と司は思った。


「別に普通だろ。」


司は完璧に微笑んだ。


俺は経験した事がないけど、という言葉は飲み込で。


空知には絶対歪まない人であって欲しい。


曇りない気持ちでそれだけは言える。


「だよな、普通そうだよな。」


普通はそうだ。