嘘と本音と建前と。

司が大量の教科書を靴箱から取り出しかかえた。


「全部置いて帰ってたのかよ。」


あの狭い空間にどうやったら入るのか理解ができなかった。


階段前で待っていた香織も教科書を抱き抱えていた。


「え、なんでそんなに入るの?」


香織と司は顔を見合わせて首を捻った。


「工夫すれば入らないものはないぐらいのはいるよね、あの靴箱。」


「たしかになんでも入りますよね。」


そう言ってふたりしてクスクスと笑った。


「え、でも持って帰らなくていいの?」


慌てて聞くと司が吹き出した。


香織も堪えているのか頬が膨らんでいる。


「忠実に守ってるのは空知だけだよ。知らなかったの?」


とうとう香織が教科書に顔を埋めて背中を震わせた。