嘘と本音と建前と。

「へぇ。」


空知を見つめると助けて欲しいと懇願(こんがん)の眼差しを向けられた。


司はあえて気付かないふりをして米倉へ微笑んだ。


助けてもらえないと気づいた空知は時計をよく見るようになった。


慌てている空知に米倉が「意外と攻めるねぇ。」と口笛を吹いた。


空知の垂れた眉毛で両手を意味も無く動かす仕草が小動物と似ている。


「米倉。盛り上がってるとこ悪いけど染谷さんとの勉強会に

僕もいたんだよね。」


米倉の瞬きの回数が急激に増えた。


「え、嘘だろ。途中で帰ったりとかは?」


空知を見ると晴れた表情をしている。


そんな表情をするならばはっきりとものを言えるようになればいいのに

と思ったがそこが空知の可愛いところかと見直した。


「数学見ないと空知、学年上がれないからね。」


司が苦笑すると米倉も空知を見てから苦笑した。