嘘と本音と建前と。

膝の上で握った拳がじんわりと汗で滲んでいる。


アキは変わらず笑顔で「もちろんよ。」と答えた。


閉店時刻までアキと話し、辺りはすっかり暗くなっていた。


いつもより肌寒い気がする。


吐いた息を指に吹きかけても、すぐに冷えた。


「ただいま。」


路地で匂っていたカレーは自分の家からだったことに気が付いた。


そしていつもより靴が多いことに目がいった。


このサイズ感とローファーであることからして楓以外ありえない。


隣近所だとこういうことがあるから嫌になる。


司はリビングには立ち寄らず、2階の自室に直行した。


楓と接触しなくて済むように鍵までかけてベットに寝転ぶ。


今日はこのまま寝てしまいたい気分だった。


楓が執着する理由を作ったのは司自身であることはわかっている。