嘘と本音と建前と。

司は言葉が出ず目を見開いた。


「やっぱり知らなかったか。」


ふふっと微笑むアキの目尻のシワが昔よりだいぶ深くなっていた。


司は萌々香と兄のことを思い返した。


たしかにそういう節が無かったといえば嘘になる。


よく高校生になってからも家に来ていたし、同じ学校だった。


何も気にしていなかったがそういうことだったのだろう。


「あ、そうだ。少し座って待ってて。」


カウンターより奥にアキが消えた。


おとなしく座っているとアキが手に牛乳を持ってきたかと思えばそれを

鍋に入れ温め始めた。


スプーンでじっくりかき混ぜる姿は今も昔も変わらない。


そばのカウンターにいなくとも何を作っているのかは一目瞭然だった。


「コーヒーって飲める?」


司はアキの予想外な言葉につまりながら返事をした。