嘘と本音と建前と。

香織の授業用ノートを見るとバツは少ないように見えた。


むしろよく解けている方だ。


しかし今やっていた問題はもうつまずいている。


「もしかして公式覚えるの苦手?」


香織の手がビクッと跳ね上がった。


苦笑いしている。


「ゴロとかあるけど覚えられねーよな。」


ぼそっと呟いてから普段の口調と違うことに気が付いた。


「もうこれは何度も解くしかないね。数こなせば大丈夫だよ。」


香織が目を細めて笑った。


「覚えるまで見ててくださいね。」


シャープペンシルのプッシャー部分が司に向けられた。


「当たり前。」


司はそれを中指で弾き返す。