嘘と本音と建前と。

市の中心に近付くにつれて社会人やら大学生やら有名私立の小学生やら

が乗り込んできた。


車内はすっかり通勤ラッシュで〆鯖(しめさば)のようになった。


「きっつ。」


誰かの体臭と香水が混ざり不快に顔をしかめる。


「かわりましょうか?」


心配そうな目で香織に見つめられた。


今日はいつも以上に混んでいるような気がする。


「座っとけ。」


一つの吊革を両手で掴んで香織に迷惑をかけないよう足を踏ん張る。


しかし人は増える一方でじわりじわりと香織の膝に司が

躙り寄る形になってしまっている。


時折揺れる人波に押され香織の膝が司の膝に当たる。


その度に香織の肩が震える。