嘘と本音と建前と。

「待ってるから来て欲しいです。」


顔を上げたものの視線は逸らし、手の甲で口元を隠しながら

上ずった声でそう言った。


耳だけでなく頬まで紅花のように赤く染め、

懸命に恥ずかしさを堪えているようだった。


香織の純情さを垣間見た司は思わず視線をそらしてしまった。


「わかった。」


あくまでも冷静を装い、司はそのまま図書室を後にした。


自転車置き場の鉄柱にもたれながら本を読んでいると、

ネクタイを結びながら大声で司の名前を空知が呼んだ。


「長引いたね。」


司は本を閉じ、リュックにしまった。


「ごめん、大会前で揉めちゃってさ。」


空知はリュックの肩紐をぎゅっと掴み、しゅんっとした表情で俯いた。


「いや、僕はいいんだけど。珍しいね、揉めるなんて。」