嘘と本音と建前と。

「そうですか。」


あっさりした身の引き方に司は違和感を感じた。


香織は手の甲で口元を抑え、俯いている。


その反動で垂れた黒髪の隙間から赤くなっている耳が覗いた。


「次、いつ会えますか。」


こもった声で香織が呟いた。


これは紛れも無く本心であると思う。


今の言葉は選択してはいけなかったと反省しながらも優越感が沸き上がる。


いつも通りの自分が戻った気がした。


「明日とかかな。」


調子を崩さないままあくまで明るい声色で考えているふりをしながら

詰まり詰まり告げた。


「待ってます。」


聞こえたけれど負けた宣言は2回は聞きたい。


「ごめん、聞こえなかった。」