嘘と本音と建前と。

司はその声に思わず息を飲んでしまった。


「聞いてるよ。」


冷静に普段通りを装った。


「そうだ。先輩読んで下さるんですね、三部作。」


本の話をする香織は楽しそうな顔をしている。


「うん、まあ。」


夏目漱石は嫌いじゃないから読んでもいいかなと思っていた司は

香織に背中を押された様なものだ。


「先輩、昨日の約束。おすすめを教えて下さい。」


香織は口元だけ笑い、品定めでもしている様な目つきで司を見た。


「僕は、そうだな...」


司は言葉に詰まった。


けして考えて来なかった訳では無い。


迷った末に「どくろ杯とか好きだよ。」と答えた。