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ザァー
雨の音が小さく聞こえる中に,幸せ満開な女子高生の声が響く
「もう大好き♡」
「俺も♡」
あぁ、うざったい。
あんなの見せつけとしか思えない。
それよりもうざったく思うのは…
「えっ、まじ!?そいつうけんだけど笑」
「だろ!?美稀(ミツキ)なら分かってくれると思ったわ~」
楽しそうに笑う2人の姿を見てる時
男っぽい性格の女の子は,染めてないが綺麗な茶髪で,男子が接しやすい人で面白い子。物事もハッキリ言うタイプで,華園 美稀(ハナゾノ ミツキ)
ちなみに茶髪はテニスをしてて焼けたらしい。
そして男子の方は,絶賛片思い中の吉田 悠貴(ヨシダ ユウキ)。
容姿も上の上,成績もそこそこ優秀でクラスメイトの人気者。いわゆる"完璧な人"で、女子からの評判もいい。
そんな2人を,いつも横目で見ることしかできない臆病な私。
本当は喋りたい。
けど喋れない。
だから私はもう,ずっと片思いしてようと思うんだ。
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『はぁ…』
「ため息つくと幸せ逃げるよ」
『あ…村野。もうすでに逃げてるから』
目の前に現れたのは親友の村野 凜(ムラノ リン)
なんでも相談できる子で,恋愛事情とかもお互いに話し合ってる
私の前の子の席に座ると,横目であの人達を見て言った
「ま~たあの子の事?気にしないでアピっちゃえばいいのに」
『そんなのできたらしてるよ…』
「もっとポジティブになろうよ君」
哀れみの目で見てくる凜。
なんかひどくない?
というか、まだ朝なのにこんな雨降ってる…
私の心みたい
なんてね。
心の中で思い、フッと花で笑うと、凜が少し驚いたような顔で
「えっ、いきなり1人で笑うとか怖ッ」
なんて言ってきたもんだから、デコピンしてやった。
コイツといるとやっぱなんか安心する。
親友ってやっぱいいね。
そう思うと、また頬が緩む。
けどやはりそれも少しの間。
嫌でも視界に入ってくる2人。
「これかっこよくね?」
「うわやばーいイケメン惚れるー」
「棒読み感笑」
「あはははっ!!」
胸が痛くなる
なんで同じクラスになっちゃったんだろう…
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