空想愛夢~少女の人生は~

今は初秋

そこまで秋が深まった訳ではないが、今日は風が強い

「チッ、ついてないなー…」

でももしかしたらまだ友達は待っているかもしれない

そう思い、またこぐスピードを早めた

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こぎだして3分

いつもの待ち合わせの場所まで来た

まあ行ってて当然だろうな

だって電車の時間もあるんだから

今まで触れてなかったけど、私はチャリと電車を使って高校に行っている

だから寝坊なんて許されないんだ

そのため、友達にも遅れたら先に行ってと言ってある

まだ待ってるなんてことは…



「え!?なんで行かないのさ!」

友達は、こぎだすような素振りも見せず、ケータイをいじっていた

「お、来たきた。おはよー」

何とものんきな言い方

どう考えても遅刻なのに

「おはよーじゃないよ!綾奈どうして行かなかったの!?」

「え?何そんなに急いでんの?」

相変わらずのんきな顔をしたままだ

「は!?だって電車乗り遅れちゃうでしょ!?」

すると綾奈は目をパチパチさせて

「え?いやいや、昨日言ったじゃん。

明日は電車少し遅れるらしいから、20分頃ここに来てって」


「…えっ…」

そんなの聞いてない

昨日はいつも通り、「じゃあまたいつもの時間に」って言って別れたはず

「え…え?そんなこと言ってた?」

「うん。一応メールにも入れておいたんだよ?」

そう聞いて、急いでメールを確認する

【 侑李ー。明日電車少し遅れるらしいから、20分頃いつものところに集合でいいかい?】

【あ、そうなんだ。OK!では明日、いつもの所でー!】



「ホントだ」

「ね?」

昨日のメールの記録にはこの会話がはっきり残っていた

自分もちゃんと返信している

「どうした?まだ寝ぼけてる?」

綾奈に顔を覗きこまれる

「あー、うん。ごめん。最近ボケてるんだ」

あははと笑っておいた

「大丈夫かよー。しっかりしてね?」

綾奈も笑ってた

でも、友達も待ち合わせの話をこんな簡単に忘れるだろうか?

実際その時、私は物忘れが激しくて、あまり気にしていなかった

(またど忘れしただけだろう)

そう思っておいて、二人で駅へ向かった


_____特別な事がないかぎり電車が遅れるなんてことあるわけないのに