しばらくそうしていると、いつの間にか眠ってしまっていた。
目が覚めたら辺りは真っ暗で一瞬戸惑う。
ベッドから出て耳を澄ますと、1階からはなんの物音もしなかった。
もう出かけたのかな。
断っておいてアレだけど、置いて行かれたことに胸が痛む。
ホント矛盾してるよね。
嫌になる。
リビングに行くと食卓に5000円札が2枚置いてあった。
いつもあたしが座っている席に1枚と、中1の弟の広大(こうだい)の席に1枚。
そっか。
広大もご飯にはついて行かなかったんだ。
もう中1だから、そういうのは嫌なのかな。
それにしても、5000円って。
額が多すぎなのもいいところ。
夕飯代どころか、一晩中遊べるような金額じゃん。
ため息を吐きつつ、5000円札をポケットに押し込んだ。
すると、ちょうどその時スマホが鳴った。
《着信》
亜子ちゃん