「ビビッたー!いきなり出て来んなよ」
ぶつかって来た男子が驚いたような声を上げる。
どことなく聞き覚えがある声だったけど、誰かなんて考えられる余裕はない。
っていうか、今そんなことはどうでもいい。
頭の中は海里のことでいっぱいだった。
「大丈夫?ごめんな」
ヤバい。
涙を隠さなきゃ。
人に泣き顔を見られるなんて絶対に嫌。
弱さを見せたくない。
周囲がボヤけて見えて、指でそっと涙を拭う。
気合いを入れて立ち上がった。
目の前にいたのは、お風呂上がりなのかタオルを首からかけた長谷川君。
髪がまだ少し濡れていて、毛先からポタポタ水滴が垂れている。
「おーい、大丈夫か?」
長谷川君はあたしを見て首を傾げる。
「如月さん?」
「あ、えっと……大丈夫だよ。ごめんね」



